帰宅難民の映像とかは別に主人公は出てこなかった

2011年3月11日、ぼくは普通に無職だったので家にいました。

厳密に言うと、無職ではなく休職していただけなので社会的信用はありました。その2ヶ月後くらいに正真正銘の純度100%無職にはなりますが、だからなんや!文句あるんか!

 

休職した理由は「うーん、なんだか疲れたから仕事やめます」という明確な理由を職場に話したら「とりあえず休職にしといたら」という理不尽な引き留めをされたので休職してました。

で、家で寝てました。お布団で。1日中。

 

当時、付き合っていた女性がいたんですけど、別にその人のことが嫌いになったとかそういう理由もなく、なんだか疲れていたぼくは連絡も取らなくなっていました。LINE…じゃなかったな、その頃は、たぶん。メールかな?メールとか電話とか無視してましたが、付き合っているだけあって、ぼくの住所とか知られているので普通に訪ねてこられてました。訪ねてこられても、ぼくは寝ているだけなので内心「はやく帰ってほしいよ!」と思ってましたし「はやく帰ってほしいよ!」と言ってたような気もします。

 

その頃のぼくは比喩でもなんでもなくマジで横になっているだけだったので、買い物とかも行かないし、ろくに食事も摂らない(なのでその当時付き合っていた女性がごはんとか配給してくれてました)別段テレビやネットなどのメディアにも触れてませんでした。ぼくがそんな感じなので、その彼女もなんだか疲れてました。すみません。

 

で、いつものように横になってお布団と一体になっていたある日、彼女がやってきたと思ったら家に入るなり「テレビ!テレビ!はやく!」と異常なテンションになっていたので、ぼくは「まるで大地震が起きて津波が襲ってきたかのようなテンションだなぁ」と思いつつ、テレビを点けたら大地震が起きて津波が襲ってきてました。

 

さすがにお布団から出てしまいました。

ちょうどその時は、リアルタイムで津波が陸地を飲み込んでいっている映像が空撮されていて、一瞬なにが起きているのかよくわかりませんでしたが(なにしろぼくはだいたい1日中、天井くらいしか目に映っておらず刺激物を見てなかったので判断力とか低下してたんだと思います)理解したあとは無残にも津波に飲み込まれていく街を見て「ここまで…ここまでやる必要あるのかよ…!」と主人公的な感じで思ってしまいました。世界を司る神的なポジションのやつに対して怒りを表明してました。

 

で、しばらくテレビを見たあとは、眠くなってきたので寝たような気がします。こんなこと言うの良くないんでしょうけど、ぼくはすぐに飽きちゃうんで…最初はびっくりしたけど何回も津波の映像をリフレインされてもね!

と思ってたら、次の日だかなんだかには原発が水素爆発してる映像とか出てきて…いまとなっては水素爆発とか言ってますが、その時は情報が錯綜しており映像だけを見ると原発大爆発って感じだったので「なん…だと…!?これが…現実…?俺たちは…俺たちは神の掌で弄ばれる哀れな道化師に過ぎないのかよ!」とぼくのなかの主人公が戻ってきたりもしましたが、結局は彼女とも別れたし無職にもなりました。ぼくが元気を取り戻したのは、そのあとのことです。別に理由とかはないです、なんとなく元気になりました。良かった〜。

 

 

おしまい