パラサイトの話が長くなってしまった

このブログは1日に10人くらいしかアクセスしてないのですが、2/26に86、2/27も37のアクセスがありました。27日の記事を読むと「足がくさいからお風呂で洗ってる」という話、26日は「親と接したくないよ」という話、25日は「サンダル脱がされて靴を履かされた」という話でした。普通に考えてこんな記事群に訴求力があるとは思えないので、おそらくは24日の記事で「コロナ」という単語が出てきてるからではないかと考えています。

 

コロナで検索してたまたま辿り着いた人がいっぱいいたんでしょう。タイトルと、最初のほうに1回出てくるだけでコロナの話なんかしてないですが。すみません。

しかしよくよく見ると、24日のアクセス数は13であり、これはまぁ20時に更新されているので少ないのもわかるのですが、翌25日は7しかアクセスがありません。「コロナ」に引っかかったと考えると少し不可解です。

まぁ考えても答えは出ないので考えるのをやめます。こっちは究極生物ですから。

 

で、今日は映画「パラサイト」を観てきたのでその話をします。

 

この映画は勝手に人の家のWiFiを使おうと家族でドタバタするシーンから始まります。この映画って日本では「万引き家族」と比較されることが多くて、たしかに家族の話で、貧困層が主役なので近いといえば近いんですけど、印象はかなり違います。「万引き家族」はたしか児童虐待のシーンから始まっていたはずです。

 

全体のトーンもかなり違っていて「パラサイト」は、場合によってはブラックコメディというジャンルで紹介されてたのも目にしましたが、たしかにコミカルな調子のシーンも多いです。「万引き家族」にはそういう雰囲気はなく、簡単に言うと「パラサイト」は「万引き家族」と比べて明るいんですね。

 

そもそも家族の話とは言いましたが「パラサイト」の家族は血縁がある家族であり、ラストまで家族のつながりは消えません。「万引き家族」は擬似家族で最後は離散してしまいます。「万引き家族」のラストは虐待されていた女の子が実の親の元へ帰り再び虐待されてしまい終わり、それはまぁ「血縁よりも強いつながりが生まれる場合もあるよね」とも読めなくはないですが、しかしその擬似家族自体が離散してしまっているわけで、つながりなどどこにもありません。

 

万引き家族」はおそらく貧困層の現実というよりも孤独を描いてるのだと思います。

日本も韓国も格差社会ですが、日本の低層は孤独と結びついている。孤独というのは結局のところ社会問題というより自意識やコミュニケーションの問題であり「万引き家族」のラストカットは虐待されている女の子が遠くを見つめる表情で終わってます。

 

孤独は孤独で重要な問題だと思いますが、これは割とあっさり解決したりするんですね。

たとえば古谷実の漫画って冴えない男が主人公で悩んだりするんだけど、彼女できただけで救われるみたいな話が多いですね。これはまぁ正しいといえば正しいんでしょう。ぼくの近場でいえば、ラジオリスナーってコンプレックスの多い人種ですけど、おそらくその悩みの9割は恋人でもできれば簡単に解消できると思います。

万引き家族」の虐待されている女の子もラストでは元に戻るものの、作中のほとんどでは擬似家族のなかで救われていたわけで、人とのつながりこそ最高の薬というわけです。

 

「パラサイト」の格差は厳しいんですね。格差を解消する方法は金を手に入れるしかないって話ですから、いくら血縁のつながり、家族のつながりが強くても、それだけではどうしようもない。

万引き家族」が「人のつながりで救われるかもしれない」という話だとすると「パラサイト」は「人のつながりだけでは足りない」という話になります。

 

この辺、韓国は日本より格差が激しいという話とも関係するのかもしれません。

万引き家族」はタイトル通り万引きで生活しているわけですが、その犯罪対象は別に富裕層ってわけじゃないんですね。店だから。「パラサイト」は明らかに格差の頂点みたいな金持ちをターゲットにして犯罪を行います。この辺もけっこう違うと思います。「万引き家族」は格差をテーマにしているように見えて家族のあり方を描こうとしていて「パラサイト」では家族は自明であり前提であり格差の現実を描こうとしている。

 

なによりも「万引き家族」と「パラサイト」の一番の違いは言葉の量です。監督や脚本の違いというだけでは説明つかないくらい差があると思います。たぶん「パラサイト」に比べて「万引き家族」の台本に書かれたセリフの文字数はかなり少ないはずです。「パラサイト」の家族はよく喋るんですね。「万引き家族」のラストでは虐待されている女の子がなにかを呟こうとして終わります。言葉というのは受け手がいないと成立しないので、それはまぁ、コミュニケーションが成立するかもしれない、言葉を発することでそこに希望が生まれるかもしれないと思わせるようなラストですが「パラサイト」の言葉は、言葉だけではどうしようもないと思わせるんですね。

 

もう2000文字を超えてしまったので終わろうと思います。あとなんか言い忘れたことあったかな?あぁ、金持ち家族の若い母親と女子高生の娘が可愛かった。母娘どんぶりしたいよ!

 

 

おしまい