遺書について

ぼくは遺書を書くんですね。

高校生くらいの時に最初の遺書を書いたんですけどね、別に死にたいわけじゃなかったんですよ。「人間いつ死ぬかわかんないよな」なんて考えて、念の為に書いてるだけ。それだけなんですけどね。

 

でも遺書ってアップデートしなきゃいけないんですよ。その時その時で、メッセージを伝えるべき人間って変わるじゃないですか。

 

ぼく、19歳の時に彼女ができたんですけど、その頃には彼女に向けた遺書を書くんですよね。でも人って別れるじゃないですか。で、次の彼女ができたら、また遺書を書き直さなきゃいけないんですよ。

 

だからぼく、もう人生で10回くらい遺書を書いてるんですね。何度も言いますが死にたいわけじゃなくて、あくまでも転ばぬ先の杖っていうかね、そんなんですよ。

 

でもまぁ遺書の在り処は誰にも教えてないんで書いたところで無意味かもしれないんですけどね。いいじゃないですか。村上春樹も言ってましたよ、死は生のなかに内包されている、と。よくわかんないですけど。

 

 

おしまい